
杉本ちさとと深川まひろ。
高校卒業後に一緒に暮らし始めた二人。
ダラダラと過ごしたり、時に喧嘩をしたり、家事に追われたりとままならない日常を過ごす。
だけどもそんなゆる~い二人の本当の顔は・・
実は”凄腕の殺し屋”だった!
何となくよくある邦画の変わり種アクション映画と思って観始めたのだが、いきなり冒頭から本気度全開のアクション炸裂で度肝を抜かれてしまった。
しかしこの映画の本当の魅力はそんなアクションにも負けないくらいにままならない日常であっても自由にゆるく生きている二人の主人公のキャラクターだった。
二人は組織に所属する凄腕の殺し屋なのだがこの設定と世界観が妙にリアルで困ってしまう。
「関東殺し屋協会」って何よ?そんなら「関西殺し屋協会」や「九州殺し屋協会」もあるって事?と思うくらいリアルかつシュールな設定に思わず笑ってしまった。


まひろはコンビニのバイトでさえも妄想に逃げ込んでしまい、ちさとは頑張ってたカフェでのバイト先でブチ切れてしまって客と先輩店員に暴力をふるってしまう始末・・・
挙句には洗濯機の中に銃弾の入ったマガジンを入れたまま動かして壊してしまうが、「まあいいか」で済ましてしまうダメっぷり。
実はこの二人実年齢では9歳ほどの差があるらしいのだが、全然そんなことを感じさせない演技が素晴らしい。
ある時ちさとのメイドカフェのバイト面接に便乗することに成功したまひろなのだが、見事にポンコツぶりを発揮して途中で帰ってしまう。(もう見事な社会不適合者っぷりが逆に清々しい)
そしてそれがきっかけでちさとと仲違いをしてしまい、仲直りさせようとしたマネジャーの須佐野も困るくらい険悪な雰囲気となってしまう。
ところでこの須佐野というキャラクターが見事なくらい普通で、もしかしたらハローワークで殺し屋の募集をしてるんじゃないだろうかと思わされるくらいに違和感なく存在しているのが面白い。


そんなある日ちさとの働く店にヤクザの親子がやってくる。(ちなみにヤクザの父親は本宮泰風)
父親の理不尽のせいで店のバイトの女の子たちに危害が及びそうになるが、ちさとが一瞬の隙をついて銃を奪い、親子共々殺害してしまう。
そしてその死体処理にやってくるのが清掃班の田坂という人物であるが、こいつがまた”こんな奴いるよなぁ”と思ってしまうなかなかのキャラで結構気に入ってしまった。
そんな田坂の面倒臭さもさることながら、彼が説明する”協会を通さない殺しの処理は自腹”、”政治家と暴力団は割増料金”という設定が異常にリアルで笑える。
請求金額を聞いたちさとが思わず「高っ!」と言っていたが実際いくら支払うのかがものすごく気になる。


途方に暮れて帰宅したちさとにまひろは精いっぱいの謝罪を行い無事二人は和解をするのだが、そのためにまひろが用意したのは”イチゴのショートケーキ”。これがこのシリーズのキーアイテムになるとはこの時はきっと誰も思っていなかったはず。
さあ食べるぞというタイミングでヤクザの娘から電話がかかってくるのだが、大抵の映画やドラマでは食べるのをやめたりこの作品のように後で食べようと置いておいたりするが、自分はいつも”食べたらいいのに”と思う派である。異端だろうか?
それはともかく”ドルチェ&ガッバーナの香水のせい”でちさとはこの娘とのちょっとした因縁から果し合いを受けてしまう。
当然まひろに助けを求めるのだが、もし仲直りできていなかったら一人で行くつもりだったのだろうか?気になる。
ちさとの頼みを受諾したまひろと二人で戦いの準備をするのだが、テーブルの裏にマシンガンが隠してあったのを見たときは吹きそうになった。
しかしそこまではゆるい感じで用意していた二人が揃ってビシッと銃を構える瞬間に”プロの顔”に変わるのだが、その場面を初めて見たときは鳥肌が立つくらい痺れたのは自分だけではないと思う。


ちなみに二人が準備しているときに流れるのは「らぐなろっく 〜ベイビーわるきゅーれ〜 feat. Daichi」という曲だが、なんとこの歌主演の二人が歌っている。普通にすごくうまくて驚いた。
敵が待つ場所まで行くのは自転車の二人乗り。しかも前カゴにマシンガンを剝き出しで入れたまま。ゆるすぎて逆に尊敬すらしてしまう。
さてたどり着いた敵の待つ場所で最初に二人を出迎えるのは伊能昌幸。
多くは語らないがとんでもない役者の無駄遣いをしている。そして強キャラ感を醸し出してからのまさかの呆気ない退場。
その時はまだそれが誰なのかも知らなかったので”変な奴”(きっと二人もそう思ってたはず)という印象しか残らなかった。


そしてそれを皮切りに戦いが開始されるのだが、アクション映画が大好物である自分の期待以上のアクションを見せてくれる。
倒れた相手を盾にしながらさらに向かってきた相手に銃撃する。二人の息の合ったコンビネーションの前に敵は成すすべもなく次々に倒れて行く。さらにはちさとは大事なマシンガンをどこかに落としてくる!面白い。
あれだけの大人数を前に・・・とかいう野暮は言いっこなしで。
最近観た「ジョン・ウィック」を彷彿させるアクションだと度肝を抜かれて感心していたが、実はまひろ役の伊澤彩織はその作品にスタントマンとして参加していたとの事。お見それしました。
そんなまひろの前に立ちふさがるのは三元雅芸。
ラスボス感のオーラが半端ない。しかも銃を持った相手に対して素手で圧倒するとか恐ろしすぎる。
この三元演じる渡部とまひろの戦いはすさまじく、銃を撃っても当たらない渡部にまひろが翻弄され追い詰められる展開になって行く。
最後はまひろのフェイントからの頭突きで勝利するのだが、彼女も顔面血まみれとなりその戦いの壮絶さを物語っている。


銃を使ったアクションからの肉弾戦はよほどの自信がないとチョイスできないと思うのだが、そんな杞憂も吹き飛ばすほどの見事なアクションで締めてくれた。
さてちさとはと言うと無事マシンガンを見つけ因縁の相手であるヤクザの娘を鉢の巣にして勝利する。
そんなちさとに向かってまひろが言う「死ぬかと思った」と言うセリフは形を変えてこのシリーズのキーワードとなって行く。
ちなみにこの場面でまひろは初めて笑顔を見せる。


ちさととまひろ。まだ二人の関係は不器用で頼りなく、時に対立もしながら少しづつ揺るぎない信頼を築き始めたばかり。
この二人の成長を是非見守り、どんな結末であろうとも見届けたいと思わされる作品である。
多分10回以上は見てるんじゃないかと思う。こんなにハマった映画は実に久しぶりである。
ここ数年で見た邦画では群を抜いて面白かった作品である。

| 監督 | 阪元裕吾 |
|---|---|
| 脚本 | 阪元裕吾 |
| 出演者 | 髙石あかり 伊澤彩織 三元雅芸 本宮泰風 |
最後までお付き合いありがとうございます。
次回もベビわるで行きます。






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